このまま、永遠に時が止まってしまえばいいのに。
瞳の住人 13
「…っ、」
ロイの手がエドのシャツの下にするりと入り込む。
エドが普段着ていたベルトが目立つ服は正直いつも脱がしにくかったが、今日はシャツにズボンというもっともラフな格好で、脱がしやすいなと思いながらシャツをめくっていく。
もう君には会わない。
そう思ったはずなのに、足は自然とここに向かってしまっていて。
元々言わなければならないこともあったが、それは口実に過ぎない。
女々しい自分は、最後に一目と思ってしまって。
もう絶対に抱かない。
そう誓ったはずなのに、どうして今、エドを組み敷いているのか不思議でならなかった。
「…っは、…」
右手が胸の突起に触れると、少し甘くなった声が漏れる。
暫く聞くことの出来なかった声だ。
エドから誘われた時、一瞬何を言っているのか分からなくて。
今までそんな台詞を一言も言ってくれなかった所為もあるが、抱いてくれとはあからさまな台詞ではなかったものの、今のエドから誘い文句を聞けるとは思えなかったから、驚いた。
どうして急にそんなことを言い出したのか。
エドが自分で気付いたとしても、絶対に心の中に押し込んだままにしておくと思っていた。
きっかけは何か。
おそらくは、私、だろう。
全ての引き金はきっと私にあると言い切って間違いではない筈だ。
だから改めて思った。
―――この子の、傍にいてはいけないのだと。
「…っふ、ぁ…っ、」
少しの抵抗も許さないかのように濃厚なキスを仕掛けながら、エドのまとっている服を全て取り去って、口元を離れた唇が首筋に点々と赤い跡を残して下へと下がっていく。
もうエドを抱くことに躊躇いはない。
2度目のキスをした時に、そんなものは何処かへいってしまった。
今はただ、このカラダに酔いたい。
その後のことは、これが終わってから考えればいい。
「…っ!」
既に立ち上りかけているモノをやんわりと包み込むと、ひゅっとエドの息を呑む音が聞こえてきた。
そのまま上下に手を動かすと、びくびくとカラダが小さく跳ねて。
「…っ、あ、ぁっ、」
両手の平で口を押さえて悶えるエド。
漏れる声が恥ずかしいのか、真っ赤になって一生懸命息を殺しているのを見てロイは。
「…我慢しなくていい」
声が、聞きたい。
そう言って口を覆う手にキスを落とすと、エドは戸惑いながらも手を外す。
それを見計らってロイは顔を下げると、エドのモノを口に含んだ。
「ぁ―――っ!!」
途端に仰け反って、長い金髪が宙を舞った。
「…っあ、待、っぁ、はなし…っ!」
どうして、と聞くと。
「…っも、で…、る・・・っ―――!!」
我慢できない意思を伝えるも時既に遅く、ロイの口の中に放ってしまって。
顔を覗き込むと、目じりに溜まった涙がつっと頬をつたい、それだけで扇情さが増す。
そんな姿が愛しくて、愛しくて。
離れられるわけがないのに。
忘れられるわけがないのに。
―――それでも君が、大切だから。
ロイは口に放たれたモノを手の平に少し出して、潤った指でエドの後ろを慣らしていく。
「…っあ、ぁ、あっ、」
イイ所に当たるのか、焦点の合わない瞳が目の前で揺れている。
口を閉じることすら億劫なのか、引っ切り無しに可愛い嬌声が部屋に響いて。
そしてそろそろかと、ロイは指を抜いて己をあてがうと、エドのカラダがびくりと緊張するのを感じた。
「…怖いか?」
「…っ、」
エドは大きく首を横に振る。
同じ台詞を、過去に何度も言った覚えがある。
その度にいつも首を大きく振って、言葉には出さないが怖くないと示して。
実際抱かれていたのは私かもしれない。
いつも私という存在を嫌とも言わずに包み込んでくれて。
今、やっと気付いたよ。
「…大丈夫だ」
「っ、」
「…大丈夫」
だから最後くらいは。
「…ん…」
私が君を、本当の意味で、抱こう。
「――――っ!!!!」
エドが息を吐くのと同時に、自分を一気に奥へと押し込んだ。
息をするのを忘れるほどの凄い圧迫感に耐えるエドに、ロイはゆっくり息を吐くんだと言うが、わかっていても出来ないのか、苦しそうに見上げてくる。
「…っ、…っ、」
「エドワード…」
「っ!」
行為を開始してから初めて、名前を呼んだ。
本当は呼ばないつもりだったのに。
名前を呼んだら、手放せなくなってしまいそうだったから。
でも、呼ばないなんて耐えられなかった。
「エドワード…エド…」
「っ、たぃ…さ…っ」
エドも呼吸をしながら、小さな声でロイを呼ぶ。
しかし階級でなんて耐えられない。
呼んで欲しい。
名前を、呼んで欲しい。
「…ったいさ、…ったい…っ…、…ろ、い…っ!」
「――!」
願いが通じたというと偶然のようにきこえるが、私はそう思いなくなかった。
きっとエドが、自分の意思で呼んでくれたのだ。
偶然なんかではなく、きっと。
「…っエドっ、」
「あ、ぁ、あっ、ああ、あっ、」
ロイは律動をゆっくりした動きから少しずつ早いものへと変動させて、エドを高みに追い詰める。
―――最後だ。
これで君を解放、出来るよ―――。
「あぁ、っ、あっ、あぁあっ、ぁ―――――!!!!」
「っ!」
―――それでも君が、大切だから。
だから私は――――――。
「…たい、さ…?」
目を覚ましたエドは服を着せられて、まるで抱かれた前のように戻っていた。
それでも体に残る感覚は確かに抱かれた後のもので。
「…っ」
エドは温もり残る自分の体を、ぎゅっと強く抱きしめた。
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04/06/13
そういう描写、というよりはロイの葛藤を書きたかったんですが…。
終わってみたら結局…(死)
迷いながらもエドに応えた、そんな感じで。