君を、解放しよう―――――。


瞳の住人 10




日が、少し落ち始めた。
アルは出掛けているリースに頼まれて、買い物に行ってきますと席を立った。


「……」


変わりにロイが、その場所にいる。
しかし椅子に座らず、ただずっとエドの寝顔を眺めているだけ。


「……」


酷いことも、辛いこともさせたことがあった。
その度に嫌だと私を突っぱねたが、体は正直なもので少しも嫌がっていないように見えたから、結局は最後までしてしまったこともあった。


「……」


でもそれは愛しているが故の行為であって。
この歳になってこれ程がっつくのはみっともないとも思いながらも、喜んで啼く姿を見ると我慢が出来なくなってしまう。


「……」


勿論カラダだけではなく、瞳も、髪も、顔も性格も、機械鎧さえも愛しいとも思っている。
君の全てが、私に愛する理由をくれる。
全てをかけて愛そうとする感情をくれる。


「……もう、」


その奥底の感情は決して表には出していないつもりだったが、君には気付かれていたんだね。
だから君も、全力で私を思ってくれていた。
全力で、応えてくれていた。


「君を……」


君が『嫌い』だと言う度に、笑顔がこぼれそうになり。
君が『嫌い』だと照れて言う度に、愛しさがつのり。
君が『嫌い』だと啼いて言う度に、抱きしめたくなる。


「……解放、しなければならないのかも…しれないな…」


だがその思いが君の重荷になるというのなら。
私は喜んで君の手を放そう。
喜んでその感情を捨てよう。
――――それ程。


ロイは屈んでエドに顔を寄せ、額に優しく唇を落とす。


――――狂おしいほど。


瞼に優しく唇を落とす。


――――悲しいほど。


そして。
唇に、ゆっくりと。


「――――――――愛して、いたよ――――」













パタン、とエドの部屋に扉の閉まる音が響く。
ベッドの隣にあった銀時計がなくなっていたのに気付いたのは、アルが帰ってきて暫くのことだった。


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04/06/09
ここら辺からタイトルにもなっている曲を聴きながら読んで頂ければと。
あ、言っておきますがまだロイは出てきますよ?
だってやることやってないじゃないですか(爆)
でもその前にエンヴィーがちょっかいを出しますが。