cloud smiles 〜 ep.6





先を歩くクラウドの後ろを、少し遅れてティナが歩く。
先程から隣でオニオンナイトが何か話しているが、ティナの視線と興味は一点を見たまま動くことはなく、オニオンナイトの独り言と化していた。
ティナがじっと見詰めているのはクラウドの後姿、それも頭だった。
時々クラウドの隣を歩くスコールの頭にちらりと視線をずらす事もあったが、その度に首を傾げ、またクラウドに戻る。
その繰り返しだった。
コスモス陣営は全員で移動していたが、ティナは最後尾を歩いているため、そんなティナの行動に気付くものは居なかったが。


「ティナ!?」


オニオンナイトのビックリした声で皆が漸く気付いた。
全員が後ろを振り返り、そしてティナの行動に目を丸くする。


「…ティナ?」


名を呼んだ、クラウドの後頭部に手を伸ばし。


「やっぱり、ふわふわでさらさら」


優しく撫でているからだ。
撫でられているクラウドは後ろを向くに向けず、皆の視線を一心に浴びることとなる。
ティナの止まない行動と、居た堪れず硬直し始めたクラウド。
皆も2人から視線を外そうとしない。


「皆、暫く休もう」


これでは再び歩き始めるまで時間が掛かると判断したウォーリアは、そう声を発した。








クラウドが腰を休めようと動いた時、手は流石に離れたが、座ったと分かったら当たり前のようにティナが横に座り、再びクラウドの頭に手を伸ばし、撫で始めた。


「…ティナ、もういいか?」


流石にティナと面と向かって視線を合わせるわけにはいかず、右横に座っているティナを時折横目で見ながら、困惑した声でクラウドは言った。
如何したらいいか分からない両手も、左膝を立てた股の間に固定されている。


「もう少し」


優しく撫で、時折梳いて。
それでもクラウドのプラチナブロンドは、整った形を崩すことはなく、ティナの手に馴染んでいた。


(きれい)


プラチナブロンドと中性的な顔立ち。
クラウドの構成する全てが、綺麗で。
ずっとこのままで居たい。


「…ティナ?」


ふんわりと笑うティナに気付いたクラウドが呼ぶと。


「えへへ」


柔らかく笑みを深めて返す。
目が合って、それを目の当たりにしてしまったクラウドの頬がさっと赤らんだ。
照れると分かっていても、その表情を見ていたい。
ティナはクラウドを見詰めたまま、手を止めることはしなかった。


「…、」


だって、私が笑うと、クラウドも微笑ってくれるから。
クラウドの微笑がとてもキレイでかわいくて。
大好きだからもっと、見ていたいの。











2009/08/05
そりゃあ照れますとも…!

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