cloud smiles 〜 ep.5
クラウドは既に30分、身動きが取れない状態で居た。
原因は分かっている。
「バッツ…」
自分が30分前からずっと、後ろから抱き着いているからだ。
「いい加減にしてくれ…」
途中、何度もクラウドは腕から逃れようとしていたが、その度に力を込めて引き止めた。
最初はお互い立っての攻防だったが、さっきクラウドがバランスを崩し倒れこんだところから、今は腰を落としての攻防になっている。
拘束してる自分としては楽な体勢になったが、クラウドからしてみれば、よりがっちり囲まれてしまったため抵抗する気が失せたのか、クラウドの首に回る自分の腕を外そうとする行為はぱたりと止んだ。
「イイだろー減るもんじゃないしー」
精神が擦り減る、とうんざり呟くクラウドの首にぐりぐりと頭を押し付ければ。
(…あれ、)
ふと、ふんわりと何かが香ることに気付き、すんすんと鼻を鳴らした。
「バッツ?」
明らかに今までと違う行動をするバッツにクラウドは気付き、後ろを振り向くと。
「んー何かイイ香りがする…」
バッツは香りに促されるまま、べろっと目の前の首筋を舐めた。
「っ!?」
途端、何とも知れない感覚がぞくりとクラウドの背筋を上がり、びくっと体を震わせた。
「うまい」
「ば、馬鹿かお前はっ!!」
馬鹿としか言いようの無い行動と感想に、クラウドは思わず声を張り上げる。
舐めたところを押さえて、頬を染めて。
(あ、何か変な気分)
という言葉と感覚は抑え込んで、バッツは笑う。
「あはは、ごめんごめん」
でもホントに、イイ香りがしたんだ。
まるで舐めてくれって言ってるような、そんな香り。
自分は一応、人にしては鼻が利くなって思うことはあるけど、他の皆もこの香りに気付いているんだろうか。
いや、気付いているなら自分みたいに惹かれて止まない筈だ。
(そうか、俺はいつもこの香りに惹かれてたのか)
本人に聞けば香水を付けてはいないらしいが、いつもいい香りがしている。
そういえばいつだったか、香りが変わったことがあった。
より強く、より鮮明に、より惹かれるような。
あの時、クラウドは。
「あっ!なあクラウド、微笑ってよ!」
「は?」
この状況で何を言うんだと言う驚いた目でバッツを見る。
「だって、微笑うともっといい香りがする」
そしてきっともっとおいしい。
それは憶測ではなく、確信。
クラウドの微笑は俺の五感全部を刺激するって、知ってるから。
2009/08/05
バッツは自分の中でセクハラキャラなのかな…ww
そしてやっぱりこの構図は外せないかなと^^
ブラウザでお戻り下さい。