cloud smiles 〜 ep.3





今、コスモス陣営は二手に分かれて進んでいる。

ウォーリアを筆頭としたフリオニール、セシル、バッツ、ティナ組。
クラウドを中心としたオニオンナイト、スコール、ジタン、ティーダ組。
元はまとまって行動していたが、道が分かれていたため、アイテム等入手の高効率を目的として、二手に分かれることにした。

目指す場所は元々決まっていたため、二手に分かれることに全員異論はなく。
組分けは主にウォーリアとクラウド、フリオニール、セシルで、戦力を平等かつ相性を考慮し決められた。
そして各々の方へと進み、クラウド達選んだ道は戦いが楽ではなかったものの、比較的アイテムの回収率は高く留まっていた。

しかしあるところを境に、イミテーションの出現率が極端に低くなったことにクラウドは気付き、ジタンに先の様子見を頼んだ。
そのジタンの話によると、向かう先に大群のイミテーションが控えているという。
おそらく避けて通ることは出来ないと踏み、クラウドは少し考え込むと、各々の行動の指示を始めた。
クラウドは、自分は皆を引っ張る立場に向いていないというが、頭の回転の速さと的確さ、そして経験は、ウォーリアに継ぐに値する。
スコールも似た系統ではあるが協調性がないため、まだまだクラウドには及ばない。

―――そう、オニオンナイトは思っていた。


「…以上だ。出来るか?」
「大丈夫です、出来ます!」
「うん、期待してる」


ルーネス。


(…え、)


今、クラウドに名前を呼ばれたのは幻聴じゃない。
前に一度、名前を教えたことがあったけど。


「く、クラウド」
「ん?」
「あの、どうして、名前、」


名前を呼んでくれたの。
驚きではっきりと問うことが出来なかったが、あぁ、と汲み取ってくれたクラウドが。


「オニオンナイトは称号だろ?誇りだから呼ばれて嬉しいかもしれないけど、でも1人を定める呼び方じゃない」


オニオンナイトは自分の世界で伝説とされている称号だ。
だからこそその称号を背負うことは自慢でもあり、誇りでもあった。
それに、この世界にいるのは限られた時間。
名前を覚えて愛着を持ってもらうより、称号で呼ばれて誇りを抱いている方が楽だと思った。
でも。


「でもルーネスは1人だろう?」


名前は何のためにあるのか。
それは、自分を自分として認めてもらうため。
称号だけでは、個を見てはもらえない。
それを日々、少しずつ感じ始めていた。


「だから良ければ、名前で呼ばせてほしい」


けどクラウドは、自分を。
僕を見たいって、言ってくれてる。


「駄目か…?」


そんなの。


「う、ううん!その、全然かまわないです!」


嬉しいに決まってる。


「…ありがとう」


お礼を言うのは僕の方なのに、言えなかった。
微笑むクラウドを見ていると、何も言えなくなるんだ。


(ああ、やっぱりキレイだな)


僕は純粋にこの微笑を。
この人を、守りたいって思った。











2009/08/03
オニオンの憧れの人はクラウド的な。

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