俺はただ電話してただけじゃん。
なのに、何であ、あんなことをされなきゃいけないんだ!?
今思い出しても恥ずかしいってーのに!
電話
家中に張り巡らされた何個もの電話が一斉に鳴った。
丁度その時リビングで本を読んでいたエドは、一番近くにある受話器を取った。
「はい、マスタングです」
エドは引き取られた身なので、電話を取る時はマスタングの性を名乗る。
この家にはエドに電話が来ることは殆どなく、大半はロイに対する仕事の電話か、勧誘など直ぐに切るような電話だ。
元々仕事の電話はロイの会社に直接行くのが普通だから、夜ロイが帰ってきている時意外は殆ど電話はならない。
だから、この電話もまたアンケートか何かだと思って取った。
『あ、エド?』
だが、聞こえてきた声は自分のように幼い声。
その声が自分を呼ぶ。
となると、電話番号を教えているのは一人だけなので、すぐ分かった。
「アルか?」
『うん』
アルは俺と同じクラスの隣の席の奴だ。
こうして自分に電話が来るのは初めてで、何だか急に嬉しくなった。
俺は子機を持ち替えて、大きなソファに腰を下ろした。
「どうしたんだ?」
『あのさ、さっき凄い面白そうな本買ってもらったんだ』
「マジで?どんなん?」
『エドも好きそうな本だよ』
俺にとってアルは、クラスで唯一気の合う友達だ。
アルも、正直俺ほどではないが頭が良くて、既に中学生の問題ならさらっと解けるくらいの頭脳を持っている。
だから互いに小学六年というクラスでは浮いてしまう存在で。
尤もアルの方は持ち前の性格の良さで、仲は良いのだが、遊ぶのはいつも俺たち二人でだったりする。
遊び、と言えるかどうかは定かではないが、専ら二人で本を漁ること。
休みの日はいつも市の図書館へ行って読み耽る。
それが日常だ。
「アルは読んだのか?」
『うん、今まで読んだことない感じでさ!エドの知りたがってたことも載ってたし』
「えーいいなー俺も読みてェなー」
『そういうと思ってさ、明日持ってこうかと思って』
「やり!さんきゅー♪」
人は夢中になると他のことが耳に入らないと言うが、正にその状態だった所為か。
「ただいま」
ロイはいつものように返事を期待して、玄関のドアを開けた。
が、返事はない。
エドが走ってくる気配もない。
確かに今日の上がりは早いが、それでもいつもは走ってきてくれるのに。
小学六年になったとはいえ、いくらなんでも急に止めるようなことはしないだろう。
何だか調子の狂ったロイはとりあえずリビングへと足を向けて、ドアを開けようとして気付いた。
話し声がすることを。
しかし人の気配がないことから、電話だと悟った。
それにしても楽しそうな声で。
ロイは込み上げてくる何かにイラつきながら、ゆっくりとドアを開けた。
エドは丁度ドア側に背を向けていた為、当然ロイが帰ってきたことも、入ってきたことにも全く気付かず、楽しそうに電話を続けていた。
「だろー?ははは!え?ばっか、違うっつの!んでアルは?……あー成る程なー」
「…」
出てきた名前には聞き覚えがあった。
確かクラスで一番仲の良い子だと聞いた気がする。
だからだろうか。
何故か無性にイラついて。
私が帰ってきたことにも気付かないで。
出迎えてもくれないで。
何かと思えば楽しそうに電話だと?
私の前では滅多に出さないような楽しそうな声。
顔は見えないが、きっと満面の笑顔なのだろう。
考えれば考えるほど、イラつきが増して。
ついには。
「でもさー、やっぱそういうんは…って、ぇ、ん―――――っ!?」
『?エド?』
エドの後ろまで行って受話器を右手で取り上げ。
上を向いたエドの顎を左手で拘束して。
そのまま、ロイは顔を落として唇を唇で塞いだ。
「っ!?んー!ん、んっ!?」
エドはぎゅっと閉じていた目をいきなり見開いた。
そして反応が変わったことにロイも気付いて。
(あぁ、そういえば舌を入れたのは初めてだったか)
などと思いつつ、あくまで冷静にエドの口の中を犯す。
しかし思ったよりエドの中は甘くて。
「…ふ、ぅ……ぁ、は、ん…」
気が付いたら受話器をソファに落として、初めての感覚から抵抗をなくしたエドの口の中を味わった。
満足して放せば、エドは当に力が抜けていて。
「…良かった?」
「―――っ!!」
そう言えば真っ赤になって見上げるエドがいた。
本当に、可愛いと思う。
きっと成長しても、変わらないんだろうなとも思う。
だから、絶対に放してやらない。
でもそれは絶対に、悟らせはしない。
「良かったなら良かったと言えばいいのに…」
「〜〜〜テメェ、何度も何度も…っ!何度キスしたら気が済むんだ!!」
ほら、こんなところも。
ロイは飛び掛ってくるエドを嬉しそうに抱きしめて、キスの余韻を味わった。
相手の方は、まるで意識もしてくれないみたいだったが、それはそれで良し、ということで。
『…キス、ねぇ…』
しかも何度もか。
呟く様子から、受話器の向こうで全部を聞いていたらしい。
これをネタに、明日問い詰めてやろうと考えるアルだった。
「これで少しは大人しくなればいいんだがね」
「は?何が」
「いや、こっちの話だ」
今だ怒りが収まることを知らないエドには、絶対言えないだろう。
わざと自分たちのやり取りを、アルに聞かせていたなんて。
尤も、こちらとしては満足できたのでどうでも良い。
「あー、ムカつく…」
「良かっただろう?」
「だからテメェは…」
脱力するエドに、満足のキスを落として、また反感を買うロイだった。
END.
04/11/15
とりあえずはフレンチからディープへとステップを踏んだ二人(笑)
きっかけは、ヤキモチから!
聞かせるあたり、本当に策士だと思われ(笑)
アンタ何冷静に犯してんだよ!とか突っ込んで頂ければそれでいいです(笑)
いい年した大人のヤキモチっていいよねーvv(ぇ)
しかしこの一年の間に色々あったらしいですから…(微笑)
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